2026年8月:検証された数値、法定基準にもとづく取得諸費用、そして完全に多言語対応した分析レポート
すべての分析は、お客様のもとに届く前に検証レイヤーを通過するようになりました。通貨換算は基準レートから再計算され、利回りは本文・表・PDFの全体で整合が取られ、取得諸費用は物件の実際の価格に対して日本の法定基準から算出されます。分析レポートは選択された言語で完全に表示され、「本分析では判断できなかった事項」を示す新しいセクションが、どの専門家に確認すべきかまで明示します。さらに、日本の大手デベロッパーのブランドシリーズに該当するマンションを名称で認識します。
4月はデータ、5月はパーソナライズ、6月は判断力、7月はリスクと立地がテーマでした。そして8月のテーマは「精度」です。分析が、投資家がこれまで手作業で行ってきた仕事をより多く担うようになるにつれ、満たすべき基準も上がってきました。すべての数値は、検証可能で、再現可能で、どこに表示されても一貫している必要があります。そこで今月は、レポートの裏側にある仕組みに注力しました。計算結果とページの間に立つ検証レイヤー、日本の法令に依拠する費用の法定計算、そしてすべての分析が参照する単一の正となる物件データです。以下が今月リリースした内容です。
1. 計算結果とレポートの間に立つ検証レイヤー
Tatemono IQ は重要な数値を自ら計算し、それをもとに AI がレポートを執筆します。8月には、完成したレポートを保存前にその計算結果と突き合わせて検証するレイヤーを追加しました。
通貨換算を再計算します。 分析内のすべての「¥X(約 $Y)」の組み合わせを完成後の文章から抽出し、その分析の生成時に使用された基準為替レートで再計算します。丸め誤差の許容範囲を超えるものは保存前に修正されるため、画面上のレポート、PDF 出力、共有リンクのいずれもが同一の検証済みの数値を保持します。
利回りは表示されるすべての箇所で整合が取られます。 整合処理の対象が本文・サマリー表・PDF の全体に広がりました。文中で示される利回りと表内の利回りは同一の数値となり、本文は分析自身の計算ブロックと突き合わせて検証されます。
不明な値は「不明」として扱います。 物件データから確実に導出できない数値については、代替値を結果として提示するのではなく、不明である旨を明示します。経費率は総賃料収入が判明している場合にのみ表示され、実質利回りが不明な場合はスコア化せず不明のまま扱います。
価格の異常値チェックがすべての経路で実行されます。 価格の入力誤りを検出するチェックが、分析を生成・再生成するすべての経路で実行されるようになりました。また区分所有の物件については、総戸数が分析対象の持分ではなく建物全体を表す数値であることを踏まえ、正しく適用されます。
2. 日本の法定基準にもとづく取得諸費用の算出
取得諸費用は、物件の実際の価格に対して、サーバー側で法定基準から算出されるようになりました。その価格帯に適用される印紙税の区分、および宅建業法にもとづく仲介手数料(2024年の改正で導入された、800万円以下の物件に対する税込33万円の上限を含む)が対象です。
画面に表示されるパネルも同じ法定計算から生成されるため、何も操作しない状態で、その物件にとって正しい数値が最初から表示されます。異なる前提でシミュレーションしたい場合には、どの項目をお客様が編集したかをシステムが正確に記録します。編集した項目のみが上書きとして適用され、手を加えていない項目は法定基準のまま維持されます。
出典:日本の法定取得費用基準(印紙税の価格区分、宅建業法の仲介手数料規定、2024年7月の低価格帯改正を含む)
3. すべての分析が参照する単一の正となる物件データ
分析は複数の方法から開始できます。物件ページから、リストから、あるいは一括処理からです。現在はそのすべてが単一の正となるデータソースからデータを構成するため、どの経路で実行しても、すべての分析が物件情報の全体を参照します(建物構造、階数、総戸数、面積、用途地域なども含みます)。同じ物件からは同じ分析が得られます。さらに、レポートが表示しうるすべての項目に対して、それを生成する処理が存在することをビルド時のガードが検証するため、レポートとデータは両者が拡張されても整合を保ちます。
単一のデータに集約したことで、解体費用の見積りも実運用に入りました。この機能が想定していた物件、すなわち土地のみの物件、および築年数が一定を超えた戸建てにおいて表示されます。
物件スコアカードも同じ再現性を獲得しました。「収益性」の評価は、定性的な判断ではなく明示的な利回りの数値帯にもとづいて算出されるようになったため、同じ数値からは、何度分析を生成しても、またどの言語であっても、同じ星評価が得られます。
4. 新セクション:「本分析では判断できなかった事項」
すべての分析の末尾に、**「本分析では判断できなかった事項」**というセクションが追加されました。次の3点を扱います。
- 入手できなかったデータ。「情報が限られている」といった一般的な注記ではなく、具体的な項目名として明示します。
- お客様から提供されていない前提に依存する数値。その前提を数値のすぐ隣に再掲します。
- 専門家に確認すべき事項。それぞれ適切な資格者に対応づけます。評価に関しては不動産鑑定士、税務の取扱いは税理士、権利関係と登記は司法書士、取引上の説明事項は宅地建物取引士、許認可の申請は行政書士です。
このセクションは、従来レポートの末尾にあった推奨(レコメンデーション)に代わるものであり、意図的な変更です。Tatemono IQ はリサーチ・分析のためのツールであり、投資助言業者でも不動産鑑定士でもありません。数値、リスクプロファイル、市況コンテキスト、複数の運用戦略の比較は従来どおりすべて揃っており、その精度はこれまでで最も高い水準にあります。レポートの締めくくりに置かれるのは、適切な専門家に持ち込むべき未解決の論点であり、断定的な結論よりも有用な着地点だと考えています。ガイドツアーもこれに合わせて更新しました。
5. 大手デベロッパーのブランドシリーズを名称で認識
マンションにおいて、その建物を手がけたデベロッパーは品質を示す実質的なシグナルであり、日本では通常、建物の名称自体から読み取ることができます。分析では、物件を大手デベロッパーのブランドシリーズの厳選リストと照合するようになりました。三井不動産のパークホームズ、パークコート、パークタワー、三菱地所のザ・パークハウス、住友不動産のシティハウス、シティタワー、野村不動産のプラウド、東急不動産のブランズ、大和ハウスのプレミスト、積水ハウスのグランドメゾンなどが対象です。
物件名、デベロッパー名、管理会社、施工会社のいずれかで該当が確認された場合、分析と物件概要はそのシリーズ名を明示し、施工品質や管理体制の水準を示すプラスの要素として扱います。信頼性を保つために、2つの制約を意図的に設けています。照合はあいまい検索ではなく厳選リストとの完全一致で行うため、たまたま同じ語を含む無関係な企業がブランドシリーズと誤認されることはありません。また該当がない場合、分析はデベロッパーや管理会社の評判について推測してはならないと明示的に指示されます。その場面では、憶測を述べるのではなく何も述べないことが誠実な回答です。
出典:大手デベロッパーのマンションブランドシリーズに関する自社調査・整備リスト
6. 選択した言語で完全に表示される分析レポート
多言語対応が、本文だけでなくレポートの構造要素にまで及びました。財務概要テーブルの列見出しと項目名、物件スコアカードのテーブル全体、物件評価ブロックのすべてが、アプリ上でも PDF 出力でも、選択された言語で表示されます。日本語、韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語のすべてが対象です。繁体字中国語の出力については、保存時に字体の純度チェックも行われるため、簡体字が繁体字の分析に混入することはありません。
追加質問(フォローアップ)は構造化出力にもとづいて刷新されました。 自由記述のテキストから解析するのではなく、質問とその付随情報が構造化データとして返されるようになりました。これにより、どの言語でも確実に抽出でき、今後の拡張も容易になります。日本の取引相手にとってより自然に読める場合には、質問を1件につき1テーマに整理しています。また、既存の非英語の分析についても再処理を行い、追加質問が付与されるようにしました。
7. スマートフォンで始めて、デスクトップで続ける
中核となるワークフロー、すなわちブラウザ拡張機能による物件情報の取り込みや、マイソク PDF のアップロードは、デスクトップでの利用を前提に設計されています。スマートフォンからのご登録は、そこで止まるのではなく、デスクトップへ橋渡しされるようになりました。
スマートフォンで開設された新規アカウントには、デスクトップ版で何ができるのか、そしていまこの場で何を試せるのかを説明する画面が一度だけ表示されます。ワンタップでデスクトップで続けるためのリンクをご自身宛にメール送信できます。そのまま閉じて、スマートフォンでデモ分析を閲覧し続けることも可能です。この画面はアカウントにつき一度のみ、5言語すべてで表示され、デスクトップでは表示されません。
8月のその他の改善
- 実行中の分析をより細かく制御できます。 完了していない分析であれば、長時間の一括処理ジョブに限らず、キャンセルの選択肢が利用できます。ジョブが完了しなかった場合には利用枠が自動的に返却され、現在のご契約では実行できない依頼については、その理由が明確に返されます。
- Aki が検索結果の全体を読み取ります。 表示件数にかかわらず検索結果について質問すると、Aki は実際に表示されている全件をもとに、件数、対象都市、価格帯、利回りの範囲を回答します。為替レートを含む数値も、長い会話の途中でも、またどの表示通貨でも正確なまま保たれます。
- 基礎データをより新しく、より正確に。 本番環境の駅別乗降客数は最新の国土交通省の調査年度に更新され、262駅分の数値が新たに加わりました。オープンデータによる周辺施設レイヤーは抽出の時点で日本国内に限定され、抽出範囲には含まれるものの国外に位置する約19万5千件の地点を除外しています。周辺施設データの更新処理では、インデックスの整合性も実行の一部として検証されるようになりました。
- マイソク出力が、お客様自身と物件との関係を正しく反映します。 出力されるチラシに記載される取引態様は、出力を行うチーム自身の立場を示すものになりました。また出力の操作画面では、他社の物件情報を再配布する際には当該他社の承諾が必要である旨を案内します。物件フォームでは、保存前に取引態様と物件ステータスの整合性を検証し、記録に矛盾がある場合はその旨が分析にも伝えられます。
- レポート全体の表示品質の向上: 概算を示す記号が意図どおりに表示され、都道府県は名称のみで表示されます。またリスト分析の免責事項は、その分析が実際に使用しているデータの範囲に合わせた内容になりました。
出典:国土交通省 S12 駅別乗降客数調査、Overture Maps + OpenStreetMap + 国土交通省の周辺施設データ