こんな経験はありませんか?
利回りを説明したのに、投資家から別の質問が返ってきた
物件資料を送ったのに、違うデータを求められた
会話が突然、止まってしまった
日本の不動産エージェントは高度にプロフェッショナルです。問題は知識ではありません。
問題は、外国人投資家が不動産を見る「投資フレームワーク」が異なることです。
CAP RATE
日本
表面利回り(Gross Yield)
日本では物件の収益性を説明するとき、表面利回りを使うのが一般的です。これは日本の市場では十分に機能している指標です。
海外
Cap Rate(NOI ÷ Price)
海外では家賃収入から経費を引いたNOI(純収益)をベースに計算します。「実際にどのくらい利益を生むのか」を重視します。
ここで生まれるズレ
表面利回り / 収入ベース
Cap Rate / 利益ベース(NOI)
COMPS
日本
相場観・路線価
路線価、周辺相場、査定などを総合的に使います。エージェントの経験と感覚が大きく活きる部分です。
海外
Comparable Sales(事例)
「最近売れた似た物件」の具体的な成約価格データを重視します。市場価格に対して割安かを判断するためです。
ここで生まれるズレ
相場観重視 / 「だいたいこのくらい」
データ(成約事例)重視 / 「この物件がいくらで売れた」
EXIT STRATEGY
日本
長期保有・安定収入
家賃収入(インカムゲイン)を目的とした長期保有が一般的。ずっと持ち続けることが前提です。
海外
Exit Strategy(出口戦略)
「いつ、いくらで売るか」を最初から計画します。5年後の売却や、価値を上げてからの売却を想定します。
ここで生まれるズレ
持ち続ける前提 / インカム重視
売る前提 / キャピタルゲインも視野
PRO FORMA
日本
マイソク(概要書)
価格、利回り、図面、基本情報が1枚にまとまった非常に優秀な資料。日本の取引ではこれで十分です。
海外
Pro Forma(収支予測)
将来の収支予測をまとめた表。家賃収入、運営費、修繕費、NOIなどを年単位でシミュレーションしたもの。
ここで生まれるズレ
現状のスペック情報
将来の収益シミュレーション
CASH FLOW
日本
表面利回り
物件の収益力を示す指標として使われます。ローン返済額は個人の属性によるため、物件情報には含めません。
海外
Cash Flow(手残り)
ローン返済や経費をすべて引いた後、毎月手元に現金が残るか(Positive)持ち出しになるか(Negative)を見ます。
ここで生まれるズレ
物件の収益力
投資家の手残り現金
VACANCY RATE
日本
現況(Occupancy)
「いま満室かどうか」が最重要。満室稼働中なら、すぐに家賃が入る優良物件とみなされます。
海外
市場空室率(Market Vacancy)
エリア全体の需要を見ます。「いま満室でも、退去が出たら次は埋まるのか?」というリスクを評価します。
ここで生まれるズレ
現在の稼働状況
市場のリスク評価
LIQUIDITY
日本
人気の度合い
「駅近」「人気エリア」など、需要の強さで説明します。
海外
換金性(スピード)
「売りに出してから何ヶ月で現金化できるか」というスピードと、市場の取引量を気にします。
ここで生まれるズレ
需要の強さ
売却スピード・取引量
DISASTER RISK
日本
重要事項説明
ハザードマップの提示は義務ですが、リスク許容度は買い手の判断に委ねられることが多いです。
海外
致命的な投資リスク
日本は災害大国という認識が強いため、地震・洪水リスクには過敏です。保険料への影響も気にします。
ここで生まれるズレ
法定の説明義務
投資判断を左右するリスク要因
MANAGEMENT
日本
安心の仕組み
管理会社がいる=オーナーの手間がかからない、というメリットとして説明されます。
海外
コスト要因
管理手数料がいくらか、修繕対応は高いかなど、収益を圧迫するコスト要因として厳しく見られます。
ここで生まれるズレ
安心感・利便性
コスト・収益への影響
COMPARISON
日本
個別資料(マイソク)
それぞれの物件の個別の良さを伝える資料が中心です。
海外
横並び比較表
価格、利回り、リスクなどを一覧表にして、数字でドライに比較することを好みます。
ここで生まれるズレ
物件ごとの個別アピール
横並びの数値比較
問題は英語ではありません
ここまで見てきたように、外国人投資家との商談で起きるズレの多くは、英語力の問題ではありません。
日本の不動産エージェントの説明は、日本の市場では十分に合理的で正確です。ただ、海外投資家は「投資判断のフレームワーク」が異なります。
必要なのは英語力ではなく、「投資判断の材料」を整理することです。
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