日本の住宅不動産価格 2020〜2025

248万件の公的取引データ分析

2,247,230
分析対象取引数
47
都道府県
FY2020–FY2025
24 四半期

データソース:国土交通省(PDL 1.0)| 分析・インサイト:© Tatemono IQ · 2026年4月更新

市場概観

日本の住宅不動産市場は、バブル崩壊前以来見られなかった構造的な成長局面に入っている。コロナ禍の影響をほとんどの主要市場より早く吸収した後、中古マンションの全国中央値は2021年から2025年にかけて+21.4%上昇し、その背景には円安、海外資金の流入、都市中心部の供給制約という3つの要因がある。首都圏が回復の不均衡なシェアを占める一方、市場全体では「選別の時代」が到来している。日本の縮小する人口が駅徒歩圏や交通利便性の高い物件に資本を集中させる中、超利便性の高い都市立地はかつてない価格プレミアムを記録し続けている。

¥485,714/m²
上昇中
全国マンション中央値(直近3年)
中古マンション等
+21.4%
上昇中
価格変動 2021→2025
全国平均東京: 同期間で +20.8%
¥236,364/m²
横ばい
最も手頃な主要市場
北海道
+165%
プレミアム
駅近プレミアム
徒歩5分以内 vs 20分超

価格を動かす要因

円安

2022〜2024年の30%以上の円安により、数十年見られなかった水準のドル・ユーロ購買力優位が生まれ、東京の住宅市場に大規模な海外資金が流入した。

外国人需要

2024年の都心マンション新築取引の推定27〜40%が外国人購入−2020年以前の数%から大幅に拡大した。

供給制約

2020〜2024年に東京23区の新築住宅完成件数が減少する一方、需要は急増。在庫圧縮により中古市場の価格上昇圧力が増幅された。

金融政策の乖離

欧米の中央銀行が2022〜2024年に積極的な利上げを行う一方、日本銀行は超低金利政策を維持した。国内の変動金利住宅ローンは極めて低い水準にとどまり、世界的な金融引き締めのサイクルの中で海外資金にとって魅力的なキャリートレードの機会を生み出した。2024年に始まった日銀の歴史的な政策転換には注目が必要だが、実質金利は依然として世界水準から見れば構造的に低い。

新築コストの螺旋的上昇

円安による建設資材の輸入コスト上昇に加え、改正労働基準法に基づく2024年建設業界の時間外労働規制が熟練労働力の供給を圧迫した。東京23区の新築マンション平均価格は2025年度に1億3,784万円となり、3年連続で1億円超えを記録。購入できなくなった国内需要者は中古RC物件へのシフトを強めており、外国人需要とは別の要因で中古市場を押し上げている。

東京集中

東京重力効果

67.6%

全国平均は東京の圧倒的な役割を隠しています。首都圏(1都3県 — 東京、神奈川、埼玉、千葉)は日本の人口の約30%を占めながら、全国の中古マンション取引額の約67.6%を占めています。

67.6%
全国取引額に占める割合
53.3%
全国取引件数に占める割合
首都圏(1都3県)— 東京・神奈川・埼玉・千葉

東京の優位性は偶然ではない。数十年にわたるインフラ集中投資、企業移転のたびに強化されてきた集積効果、そして最も透明性が高く流動的な都市不動産市場に優先的に流れ込んだ日銀緩和期の流動性—これらが重なって生み出された構造的結果だ。その結果、東京都心の住宅市場は取引量と価格発見の継続性において極めて深い市場となり、海外資金は下落局面でもExitが機能する高視認性の資産クラスとして扱い始めている。

この重力効果は周辺にも波及する。神奈川・埼玉・千葉—1都3県の通勤圏を形成する3県—の価格上昇は自県の人口動態的ファンダメンタルズではなく東京のトレンドに追随してきた。東京都心への通勤時間は依然として強力な価格変数であり、1都3県の通勤圏は独立した地域市場というよりも、都心から同心円状に広がる価格バンドとして機能している。

駅近プレミアム

駅距離:日本の不動産価値を決める第一の変数

+165% プレミアム
徒歩5分以内 vs 20分超

最寄り駅までの徒歩時間は、日本の都市における住宅資産価値と長期的な賃貸性を最も高く予測する変数だ。高齢化が進む社会と都市居住の若年層の低い自家用車普及率が構造的に交通利便性を最重要の生活利便指標・流動性指標へと押し上げている。徒歩5分圏内の物件は徒歩20分超の物件に比べて中央値で+165%のプレミアムを示しており、そのギャップは2020年以降、リモートワークの普及とインバウンド投資の増加がいずれも最高の駅近立地への需要を下支えする中で一貫して拡大している。

5分以内 — ラグジュアリー層:最高の流動性、最強の賃貸利回り、人口動態リスクに最も強靭

6〜10分 — コア市場:競争力のある価格帯、全アセットクラスで安定した賃貸需要

11分以上 — 急激な流動性ペナルティ:成約までの期間延長、売却時の値引き、人口動態リスクの高まり

選別の時代

地域別成長率の分化

全47都道府県の中で、好調地域の物件価値は加速する一方、低成長地域は足踏み状態が続いています。この拡大するギャップは、供給が限定された都市中心部への市場集中を反映しています。

Top 5都道府県

  • 新潟県
  • 長野県
  • 大分県
  • 大阪府
  • 栃木県
+27.9%
Average growth (2021→2025)

Bottom 5都道府県

  • 秋田県
  • 青森県
  • 島根県
  • 山梨県
  • 茨城県
-3.9%
Average growth (2021→2025)
上位5都道府県と下位5都道府県の平均成長率の差
+31.9%pp スプレッド

地域的成長チャンピオンを読み解く

新潟(+33.1%)と長野(+29.2%)は都市密度が低いにもかかわらず最上位クラスの伸び率を示しており、一見すると矛盾するように見える。この背景には2つの要因がある。まず、両県の2021年時点の価格水準が相対的に低かったため、絶対値の上昇は限定的でも伸び率は大きく見える。次に、長野については軽井沢や白馬のリゾート市場で国内別荘需要や海外インバウンド投資(スキーリゾート需要)が急増し、県全体の中央値を押し上げている。これは有意義なデータであり、ノイズではないが、広域的な地域回復の兆候と一般化すべきではない。

構造的二極化 — 利便性を追う資本

日本の人口は減少しているが、不動産市場は一律に下落しているわけではなく、二極化が進んでいる。集積効果、交通インフラ、世帯の小型化が持続的な需要を生む超利便性の高い都市中枢部に資本が集中する一方、基幹都市や大規模な交通投資を持たない地方では停滞または緩やかな価格侵食が続く。就業年齢人口の減少加速に伴い、この傾向は今後20年でさらに強まる見通しだ。

人口が減少している都道府県の中でも、新幹線駅周辺のマイクロマーケットは周囲の市況ではなく都市圏に近い価格動向を示している。都道府県平均は市区町村単位のストーリーを隠してしまうことを示す好例だ。

Tatemono IQの市区町村レベルの分析ツールを使えば、そうした新幹線沿線のポケットや人口動態の例外市場を、主要指数に反映される前に発見できる。

供給側のダイナミクス

新築 vs 中古:乖離する2つの市場

新築コストという天井

円安による建設資材の輸入コスト高騰に加え、改正労働基準法による2024年建設業界の時間外労働規制が新築住宅のコストを史上最高水準に押し上げた。東京23区の新築マンション平均価格は2025年度に1億3,784万円を記録し、3年連続で1億円超を維持—事実上、多くの国内実需層を市場から締め出す価格水準となっている。

中古市場へのスピルオーバー効果

新築を購入できなくなった国内需要者は、1981年新耐震基準(建物の建築確認が1982年6月以降のものに適用)の下で建てられた中古RC(鉄筋コンクリート)構造物—住宅不動産における構造安全性の事実上のゴールドスタンダード—へとシフトしている。この需要の移行は、本レポートの中古取引データを動かす主要なメカニズムだ。単なる投資家の思惑ではなく、国内住宅需要の構造的な再チャネリングが起きている。

価格トレンド

コロナ後の価格加速

日本の中古マンション市場は、2020年のコロナショックによる混乱を多くの主要国市場よりも早期に吸収した。2021年度の全国中央値の下落幅は4.3%に留まり、2022年にかけて急回復を遂げた。2022年以降の価格加速は、主に3つの要因が重なったものである。第一に、2022年から2024年にかけて30%以上進行した円安により、ドル・ユーロ建てでの割安感が台頭。第二に、2024年時点の都心新築マンション取引の27〜40%を外国人が占めたとの推計。第三に、歴史的な低金利が国内需要を支え続けたことである。2025年度の地価公示は5年連続の上昇となり、1991年以来の上げ幅を記録。東京のマンション価格が4年間(2021年から2025年)で+20.8%上昇したのに対し、全国中央値は+21.4%に留まり、バブル崩壊以降で最大級の二極化(都心と地方の乖離)が鮮明となっている。

–4.3%
Peak COVID dip (FY2021)
+21.4%
全国回復(2021→2025)
+20.8%
東京マンション値上り(2021→2025)
27~40%
都心新築マンション外国人購入比率(2024推定)

全国マンション中央値¥/㎡−2020年度〜2025年度

中央値・直近3年ローリング・国土交通省 不動産情報ライブラリ

¥400k¥450k¥500k中古マンション取引中央値の落ち込み202020212022202320242025Source: Tatemono IQ (tatemonoiq.com) · Data: MLIT Reinfolib
都道府県ランキング

中古マンション都道府県別価格

中央値¥/㎡・直近3年ローリング・取引30件以上・出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ 取引価格情報

順位都道府県中央値¥/㎡2021→2025
01新潟県¥220,000+33.1%
02長野県¥353,846+29.2%
03大分県¥231,579+26.9%
04大阪府¥446,154+25.5%
05栃木県¥250,000+25%
06香川県¥187,500+24.4%
07福岡県¥341,176+22.3%
08東京都¥950,000+20.8%
09岐阜県¥238,095+20%
10和歌山県¥140,000+19.9%
11石川県¥223,529+18.8%
12滋賀県¥329,412+18.1%
13岡山県¥285,714+17.3%
14長崎県¥284,211+16.7%
15神奈川県¥520,000+16.5%
16千葉県¥333,333+15.9%
17群馬県¥213,393+14.8%
18沖縄県¥457,143+14.6%
19埼玉県¥384,615+14.5%
20鹿児島県¥314,286+14.3%
21奈良県¥212,500+13.4%
22京都府¥435,294+13.1%
23兵庫県¥341,176+12.5%
24岩手県¥250,000+12.5%
25熊本県¥228,571+12.5%
26宮崎県¥260,181+12.4%
27高知県¥242,857+11.8%
28富山県¥240,000+10.9%
29宮城県¥300,000+10.5%
30鳥取県¥240,000+10%
31福井県¥233,333+9.2%
32北海道¥236,364+8.9%
33広島県¥306,667+7.3%
34佐賀県¥221,637+7.1%
35山口県¥200,000+7.1%
36三重県¥240,000+5.4%
37愛知県¥280,000+4.3%
38静岡県¥216,667+2.3%
39福島県¥216,667+0%
40山形県¥216,667-0.1%
41愛媛県¥213,333-0.4%
42徳島県¥178,947-0.5%
43茨城県¥276,923-1.9%
44山梨県¥181,818-3%
45島根県¥260,662-4%
46青森県¥173,333-4.5%
47秋田県¥182,576-6.2%

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集計方法およびデータについて

  • 買主アンケートに基づくデータ−住宅取引全体の約8%のサンプル率
  • 個別住所は匿名化−字・丁目レベルの解像度のみ
  • 都道府県・期間ごとに最低30件の取引を要件として適用
  • PDL 1.0(パブリックデータライセンス)準拠−帰属表示により自由に再公開可能

データの帰属

出典
不動産情報ライブラリ(国土交通省)
URL
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
ライセンス
PDL 1.0
最終更新
2026年4月

期間の起点

変動指標がFY2021を起点とする理由

本レポートの変動指標は、コロナ禍の底値となる2021年度を起点として算出しています。2020年度を基準とする比較に比べ、回復期の動きをより明瞭に示すためです。グラフはFY2020–FY2025の全期間を表示しており、2021年度の落ち込みが視認できます。

中央値を使用する理由

弊社の中央値が指数と異なる理由

Reinfolib取引中央値は、全ユニットサイズ、築年数、および都道府県内地理(例:東京都は多摩地域の低価格都市を含む)の生の価格/㎡の集計です。指数(東京カンテイの70㎡相当、BISのヘドニック調整済み)は回帰フィッティング方法を使用しており、体系的により高いヘッドラインナンバーを生成しますが、単一期間の取引ノイズを平滑化します。

両方の見方は正しく、異なる質問に答えます。Tatemono IQは、モデルではなく買い手が実際に支払った価格を反映しているため、意図的に取引中央値を使用しています。

ライセンスと権利

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クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利-改変禁止 4.0 国際ライセンス

このレポートを引用する

Tatemono IQ. (2026). Japan Residential Property Prices Market Report. Retrieved from https://www.tatemonoiq.com/en/market-reports/japan-residential-prices