災害リスクとハザードレイヤー

日本は先進国の中でも自然災害リスクが高い国であり、そのリスクは市場価格に織り込まれています。保険料、賃貸需要、融資条件、そして売却時の価格に影響します。Tatemono IQ は日本政府が公開する公式のハザードデータをすべての物件のマップに重ね合わせ、物件パネルに要約して表示します。日本語のハザードマップを一つひとつ読み解く必要はありません。

6つのハザードレイヤー

6つのハザードレイヤーを利用できます。6つすべて初期状態はオフで、ページを読み込むたびにリセットされます。検討中の物件に関係するレイヤーを選んでオンにしてください。

レイヤーアイコン表示内容
洪水水に浸かった家河川の氾濫による想定浸水深(計画規模の想定に基づく)。
津波沿岸部・河口部における津波の想定浸水深。
高潮風の渦台風による海面上昇が内陸に及ぶ範囲。アイコンは水ではなく風の記号です。
内水氾濫強い雨大雨時の排水・下水の処理能力を超えた浸水。河川から離れた場所でも発生するため、河川氾濫とは区別されます。市街地の物件ではこちらの方が重要な場合も多くあります。
土砂災害斜面と土砂指定された土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊、地すべり、土石流)。
地震地震波今後30年間に強い揺れに見舞われる確率。

マップ上のコントロールは「地震」と表示され、物件パネルでは同じデータを「地震ハザード」として扱います。どちらも同じデータを指しています。

マップコントロールの使い方

ハザードコントロールはマップの物件パネル内にあります。表示されるのは次の2か所です。

  • 物件詳細ページのマップ。パネルは自動的に開きます。このページのマップは必要に応じて読み込まれるため、まず「地図を表示」をクリックしてください。マップと一緒にハザードコントロールを含むパネルが表示されます。
  • 物件一覧ページのマップ。物件のマーカーをクリックしてパネルを開くと表示されます。

コントロールは4つあります。

  1. 6つのレイヤー切り替えボタン — 3×2 のアイコンボタンです。文字のラベルは表示されません。ボタンにカーソルを合わせるとツールチップで名称が表示されます。または凡例を開くと、オンにしているレイヤーの名称が表示されます。クリックでレイヤーを追加し、もう一度クリックで解除します。
  2. 重ね合わせの不透明度 — ハザードの色をどの程度濃く重ねるかを調整するスライダーです。下げると背景の街路名や建物の形状が読み取りやすくなります。
  3. すべてクリア — オンになっているレイヤーを一度に解除します。このボタンはレイヤーが1つ以上オンになっているときだけハザードレイヤーの見出しに表示されるため、開いた直後には表示されません。
  4. 凡例を表示/凡例を非表示 — 次のセクションで説明する色の凡例を開閉します。

1つのレイヤーだけ挙動が異なります。地震レイヤーは外部サービスに依存しているため、オンにした後、そのサービスが利用できない場合はボタンがグレー表示になり、ツールチップで理由が示されます。他の5つのレイヤーにこの状態はありません。

凡例の読み方

凡例を開くと色の意味を確認できます。凡例にはオンにしているレイヤーごとに1つのブロックが表示され、それぞれにレイヤー名が付きます。つまり凡例は、どのレイヤーが有効かを確認する手段にもなります。6つのうち4つは同一の深さスケールを共有しているため、以下では一度だけ説明します。

洪水と地震のレイヤーをオンにした状態のハザードレイヤーパネル。3×2 に並んだ6つのアイコンボタンのうち、洪水と地震が選択されている。その下に重ね合わせの不透明度スライダー、凡例を非表示のリンク、0〜0.5 m から 10 m 以上までの5段階の青い深さスケールを示す洪水の凡例、「Probability of JMA seismic intensity 6+ (震度6強) or above within 30 years」と題され 0〜0.1% から 26〜100% まで黄からマゼンタに変化する5段階の地震の凡例が表示されている。出典として「Source: GSI Disaportal」および「Source: J-SHIS (National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience). Map reproduced from J-SHIS.」の2行が記載されている。

上の画面では洪水と地震の両方がオンになっているため、凡例には洪水の深さスケール、地震の確率スケール、そしてそれぞれの出典が表示されています。レイヤーが1つ以上オンになっているため、見出しには「すべてクリア」ボタンが表示されています。

共通の深さスケール。 洪水・津波・高潮・内水氾濫は、いずれも想定浸水深(メートル)という同じ指標を測っており、5段階の同一カラースケールを共有します。

  • 0 〜 0.5 m
  • 0.5 〜 3 m
  • 3 〜 5 m
  • 5 〜 10 m
  • 10 m 以上

色が付いているかどうかよりも、深さが重要です。0.5 m なら清掃で済みますが、3 m では1階部分が完全に水没し、1階の住戸を賃貸できるかどうかが左右されます。

地震の確率スケール。 地震レイヤーは独自の5段階スケールを持ち、深さではなく確率を示します。その地点で今後30年以内に気象庁震度6強以上の揺れが発生する確率です。

  • 0 〜 0.1%
  • 0.1 〜 3%
  • 3 〜 6%
  • 6 〜 26%
  • 26 〜 100%

土砂災害は深さではなく区域を示します。 土砂災害レイヤーは指定された警戒区域(急傾斜地の崩壊、地すべり、土石流)を示します。「土砂災害」の見出しの下に表示される色のスケールは水害系レイヤーで使われている深さスケールであり、土砂災害の区域を説明するものではないため、このレイヤーでは無視して構いません。重要なのは、物件が指定区域内にあるかどうかです。

物件のハザードパネル

マップとは別に、各物件には6つのハザードをカード形式でまとめた「自然災害リスク評価」のセクションがあります。各カードには色分けされたリスクバッジが表示され、データがあるカードには詳細な数値(水害系は想定浸水深と浸水継続時間、地震は等級と確率)が表示されます。

ある物件の自然災害リスク評価パネル。総合リスクの行には緑色の「Low Risk」バッジと「Overall risk score excludes seismic hazard.(総合リスクスコアには地震ハザードは含まれていません)」の注記が表示されている。続いて6つのハザードカードが並ぶ:洪水リスク(Moderate Risk、想定浸水深 0.5〜3.0m、浸水継続時間 12時間、建物倒壊リスク なし)、津波リスク(None)、高潮リスク(Moderate Risk、想定浸水深 0.5〜3.0m)、土砂災害リスク(None)、内水氾濫リスク(None)、地震リスク(High Risk、地震ハザード等級 High、30年確率 66.9%(気象庁震度6弱以上))。脚注には J-SHIS(防災科学技術研究所)を出典とし、確率は30年間の統計的推定値であって個々の地震発生の予測ではない旨が記載されている。

上の物件は洪水と高潮が中程度、津波・土砂災害・内水氾濫はリスクなし、地震は高い評価で、総合リスクは低となっています。この組み合わせについては総合リスクスコアに含まれるもので説明します。

このセクションが表示される条件は2点あります。

  • 保存済みの物件が必要です。新規入力中の段階では表示されません。先に物件をインポートまたは保存してください。
  • 土地のみの物件では、建物タブにハザードセクションは表示されません。建物を前提とした表示が該当しないためです。

地震ハザード等級と30年確率

地震リスクのカードには、他の5つのハザードにはない2つの項目があります。

30年確率が元になる数値で、その地点で今後30年以内に強い揺れが発生する確率を示します。地震ハザード等級はその数値を4段階に分類したものです。

等級30年確率
低い3% 未満
中程度3 〜 6%
やや高い6 〜 26%
高い26% 以上

バッジと等級は別の尺度です(不具合ではありません)。 カード見出しの色付きバッジは他の5つのハザードと共通の5段階の表現を使うため、4段階の地震等級がそこに対応付けられます。やや高い高いはどちらも「High」バッジで表示され、中程度は「Medium」バッジで表示されます。より細かい区分は等級の行が示すため、「やや高い」の隣に「High」バッジが表示されていても正常な動作です。詳細は等級の行で確認してください。

等級が高いことは、見送る理由にはなりません。 首都圏の大部分を含む日本の太平洋沿岸の多くの地域が「高い」の区分に入り、カード自体にもこう記載されています。「高いハザードですが、日本の太平洋沿岸の多くの地域で一般的です。取引を排除する要素としてではなく、建物の耐震基準の確認や地震保険への加入によって備えることをお勧めします。」 実務上は、立地を除外するのではなく、建物の耐震基準を確認し、地震保険の費用を見積もることが対応になります。地震ハザード等級が高いことは、次に何を確認すべきかを示すものであって、他の候補物件との優劣を示すものではありません。同じ地域の他の物件もほぼ同様の数値になるためです。

立地の揺れやすさと建物の耐震基準

日本の不動産では「地震」という言葉が2つの異なる事柄を指し、混同されやすい点に注意が必要です。

  • 立地の揺れやすさその住所の地盤がどの程度強く揺れると想定されるか。本ページで扱う内容で、全国地震動予測地図に基づきます。
  • 建物の耐震基準建物自体が現行の耐震基準を満たしているか。1981年の基準改正前に建築確認を受けた建物(旧耐震)は、改正後の建物(新耐震)より低い基準で設計されています。

この2つは対になる情報であり、同じことを別の角度から見たものではありません。揺れやすい地盤に建つ新耐震の建物と、揺れにくい地盤に建つ旧耐震の建物は、本質的に異なるリスクを持ちます。どちらを判断するにも両方の情報が必要です。本ページのハザードデータが答えるのは前者のみで、建物の建築年や状態は物件情報とデューデリジェンスで確認します。

2つの異なる震度基準

マップの凡例と物件パネルはどちらも30年確率を示しますが、測っている震度の基準が異なるため、同じ地点でも数値は一致しません。

  • マップの地震レイヤーは、震度6強以上の揺れが発生する確率を示します。
  • 物件パネルの30年確率は、震度6弱以上の揺れが発生する確率を示します。

震度6弱は2つのうち低い方の基準です。震度6強に達した揺れは震度6弱も超えているため、同じ地点では物件パネルの数値の方が大きくなります。どちらも正しく、それぞれ少し異なる問いに答えています。両方を比べる場合は、物件自体の評価には物件パネルの数値を、周辺地域との比較にはマップのレイヤーを使ってください。

目安として、震度6弱は立っていることが難しく、重い家具が動き、耐震性の低い建物では壁にひび割れが生じる揺れです。震度6強は立っていることができず、現行基準を満たさない建物が倒壊する可能性のある揺れです。

総合リスクスコアに含まれるもの

ハザードパネル上部の「総合リスク」は、洪水・津波・土砂災害・高潮・内水氾濫の5つのハザードを深刻度で重み付けして算出しています。地震は含まれません。

そのため、上の画面のように地震が「高い」でも総合リスクが「低い」と表示されることがあります。矛盾ではありません。総合リスクは水害と土砂災害のリスクを要約したもので、この物件はその面では実際に低い評価です。地震の評価は独立したカードで別に示されます。

分けている理由は、地震ハザードが同一地域内の物件間でほとんど差を生まないためです。首都圏全体で「高い」となる数値を比較用のスコアに混ぜると、本来見たい差が埋もれてしまいます。したがって、物件を比較するには総合リスクスコアを、地震の状況を把握するには地震リスクのカードを、それぞれ併せて確認してください。地震データは省略されているのではなく、きちんと評価された上で、この1つの数値には合算されていないということです。

地震の評価が中程度以上の場合、パネルには総合スコアの下にその旨が直接表示されます。

データの出典と留意点

ハザードデータはすべて日本政府による公式データで、出典は2つに分かれます。

  • 水害系と土砂災害の5レイヤーは、国土地理院のハザードマップポータルサイト(GSI Disaportal)による地図画像です。
  • 地震データは、**防災科学技術研究所(NIED)**が公開する **J-SHIS(地震ハザードステーション)**によるものです。www.j-shis.bosai.go.jp を参照してください。

出典の表記は、その出典のレイヤーがオンになっている間だけ凡例に表示されます。レイヤーを切り替えると出典の記載が変わるのはこのためです。

地震データは他の5レイヤーとは別の仕組みで提供されるため、目に見える形で2点異なります。availability の状態を持つ唯一のレイヤーであること、そして解像度が粗いことです。拡大しすぎると地震レイヤーの描画が止まるため、他のレイヤーが表示されているのに地震だけ消える場合は縮小してください。

留意点を4つ挙げます。

  • 地震の確率は30年間を対象とした統計的推定値であり、個々の地震発生の予測ではありません。 66.9% という数値は地震の発生が決まっているという意味ではなく、30年の間に少なくとも1回その震度に達する可能性をモデルがその程度と見ていることを意味します。
  • 地震データは約250mメッシュで算出されているため、建物1棟単位ではなく周辺一帯の状況を示します。同じ街区にある2つの物件は同じ数値になります。
  • ハザードマップは立地について示すもので、建物については示しません。 特定の建物がどう挙動するかは、耐震基準・築年数・敷地の地盤条件・維持管理の状況によって決まり、ハザードマップからは分かりません。
  • いずれも、購入前に宅地建物取引士が行う重要事項説明や、専門家による調査・診断に代わるものではありません。 候補の絞り込みと、次に何を調べるかの判断に活用し、契約前に必ず確認してください。

次のステップ

  • 物件の閲覧 — マップ、物件パネル、周辺環境を調べるツール
  • AI分析の実行 — ハザード情報を確認した物件を評価する